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40 VIRTUS ミシェル・ダルベルトは、ある社会的背景がしばしば過小評価されていると指摘する。「作曲 家たちは、自作の初演者でした。そしてモーツァルトや、ベートーヴェンや、他の多くの作曲家 たちは、何よりも即興者として高く評価されていました。より俗な話をするなら、王侯貴族の パトロンの減少にともなって、入場料を取る公演に一般の聴衆を呼び込む必要が生じまし た。より大きな会場で、より多くの聴衆を迎えるには、より強力な楽器で演奏しなければなり ません。こうして19世紀は、楽器製作の分野にまで、輝かしい未来が約束された革命を波及 させました。私は、まさにこの初期のヴィルトゥオジティの精神に興味を抱き、本アルバムのテ ーマとしたのです。実は、このリサイタル・プログラムの案は、私の日本のマネージャーとの会 話をきっかけに生まれました。私たちは、聴衆を惹きつける華麗で迫力満点なヴィルトゥオジ ティについて話していたのです。また私は、30年前の出版時に強い印象を受けた本について も思いを巡らせました——哲学者アンドレ・コント=スポンヴィルの著作『Petit Traité des grandes vertus[邦題:ささやかながら、徳について]』を読んだとき、ヴィルトゥオジティの源 泉をたどって讃えてみたいと思ったのです」

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