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38 モダン・タイムズ 3人はトリオとしてのアイデンティティを確立すべく、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン に代表されるウィーンの伝統に身を浸し、それと同等の情熱を、ブラームスの音世界の探 求にも注いだ。さらに、ヨーロッパ室内楽アカデミーで大家たち(ハット·バイエルレ、ヨハネ ス·マイスル、パトリック·ユート)から受けた指導は、トリオ·パントゥムの成熟において最も 重要な役割を演じた。「先生がたは、私たちの耳を開いてくださいました。私たちはレッスン を通して、“話される言語”と“音楽の言語”が信じられないほど近似していることに気づきま した。今や、音楽的フレーズを修辞学の言語表現に照らさずに考察することなど考えられ ません」と、パク·ボグン(チェロ)は述べる。並行して、トリオ·ヴァンダラーやミゲル·ダ·シルヴ ァ(イザイ弦楽四重奏団ヴィオラ奏者)から思慮深い助言を授けられたトリオ·パントゥムの メンバーは、自らを継承者とみなすフランス楽派にかんする知識も深めた。「目下、私たちを 育んできたこれら二つの美学を参照しながら、独自の道を見出そうと努めています」と、メ デールは述べる。 トリオ·パントゥムには、前途に制限をもうける気はさらさらない。多種多様 な道を選んで前進するほうが、はるかに有意義で胸躍る体験となるはずだ!

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