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32 コン•エレガンツァ 今回は即興曲を、作曲された順に、ほとんど一息で弾いていらっしゃいますね… 私には一連の即興曲が、一つの創造的な衝動から次々と生まれたように感じられます。8曲 は、曲線を描く旋律、リズム、ハーモニーが優美に扱われているという点で、軌を一(いつ)に しています。足並みがそろった8曲を一つのツィクルスとみなすことは、当を得ていると思いま した。 1898年に完成した《ソナタ第3番》は、即興曲よりも後に書かれた作品です。このソナタ を本盤の幕開けに置いた理由をお聞かせください。 ピアノの低音域で力強く揺れるオクターヴは、たちまち聞き手の心をとらえます。第1楽章〈 ドランマティコ〉の出だしは断固たるものです——私には、冒頭数小節の抗しがたい力をも つ呼びかけが、実存的な問いかけ、そして深い悲嘆の表現のように感じられます。私は《ソナ タ第3番》に、いわば中毒のように惹かれています。私にとって、この曲を本盤の幕開けで弾 くことは、その後のプログラム全体の流れを促す力強い意志の表明を意味します。さらにこ のソナタは、次なる即興曲にも特異な光を投げかけます。叙事詩的で壮大なソナタの余韻 の中で、即興曲は表面的なイメージから脱し、単なる二次的な作品という見方からも離れ、 私たちの心の中で新鮮な存在感を放つのです。

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