LDV141

アレクサンドル・スクリャービンよりも異色 な作曲家が、果たして存在するだろうか? 彼が描いた特異な軌道は、同時代のロシア人作曲家た ちから何光年も離れている。当時の音楽界の天空を、ま ばゆい彗星のごとく翔けたスクリャービンの数千ルーメ ンの光は、彼の絶頂期に突如として消えた——ほんの小 さな虫刺されが、彼の命を奪ったことによって……。魂 を高揚させ、絶対的なるものに取り憑かれ、神秘主義的 な恍惚を夢見るイカロスことスクリャービンは、フレデリ ック・ショパンの音楽遺産とともに作曲家としての第一 歩を踏み出した。若きスクリャービンの音楽の洗練を極 めた旋律線は、狂おしい創造性の萌芽をはらんでいる。 クレマン・ルフェーヴルの指は、これらの初期作品から、 力強い表現と類まれに優美で詩的な移ろいを引き出し ていく。

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