39 フロリアン・ノアック このジャーナリストの名は、アーネスト・ヘミングウェイ。彼に おいては、心の中でも筆の内でも夢と覚醒がせめぎ合ってい た。そして彼もまた、先の大戦のさなかや直後にやって来たア メリカ人たちと同じく、パリジャンだった。もう懲り懲りだ! 塹壕も、大砲も、もうたくさんだ! 何百万もの死体が血を滴 らせて散らばる墓場のような光景は、いわば“名誉の戦場”に は程遠かった。
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