48 アブラカダブラ 《火の鳥》の目も眩むような〈終曲〉を演奏するときには、何を感じていますか?原曲の管 弦楽版では、弦楽器のトレモロとハープのグリッサンドが効果的に用いられています。 確かに、今にも目が回りそうですし、時空が膨張しているような感覚も抱きます。〈終曲〉の出 だしは、管弦楽用の組曲《火の鳥》の中で最も美しいパッセージの一つです。あのホルンのソ ロと、粗野な音楽のただなかに現れる感動的な優しさは、ブラームス的な親密な世界を彷 彿させます。〈終曲〉に先立つ魅惑的な〈子守唄〉は、暴力的なエピソード、すなわちカスチェ イ王の死を示唆しています。しかし、この曲を閉じる壮大な高揚のなかで、愛と調和が勝利 を手にします。そのとき、リズム、加速、そしてアクセントが、私たちを突き動かします……。ア ゴスティによるピアノ編曲版が素晴らしく見事な出来であることは、特筆に値します。
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