LDV132-3

71 トリオ·ソーラ 終楽章〈アレグロ・モルト〉は、とりわけ奔放な音楽です…… アンジェル:ブラームスの他の多くの楽曲と同様、ジプシー音楽からの影響が色濃く表れ ている楽章です。ジプシー音楽は、彼のアイデンティティおよび経歴と結びついています。彼 は音楽家として歩みはじめた頃、ハンガリーのヴァイオリン奏者エドゥアルト・レメーニとと もに演奏旅行をおこないました。この経験は、ブラームスの数々の楽曲に豊かな着想を与 えました。 本盤には、四つ目のトリオも収められていますね。この作品40は、もともとホルン、ヴァイ オリン、ピアノのために書かれたものです。ブラームス自身がホルン・パートをチェロ用に書 き換えたのでしょうか? チェロ・パートをどのように掘り下げたのですか? アンジェル:ブラームスがチェロ用に書き換えた箇所はほんの一部です。たとえば、チェロは 時おりピアノ・パートのバス声部を共に奏でるのですが、同じ箇所で、ホルンは休みます。一 方で、チェロ・パートは1オクターヴ下げられておらず、ホルン・パートと音域が同一であるた め、チェロの音の配置が不自然になることがあります。そのため私は、音の正確なイメージ、 適切な音色を見出さなければなりませんでした。そして私は、より大きな音量で弾き、音を解 放し、ホルンの発音を追求すべきだと悟ったのです! 今では、このトリオはもともとチェロ のために書かれた曲なのだと感じられるようにもなりました! ヴァイオリンとチェロは頻繁 に対になり、ヴァイオリンとホルンが組み合わされる版とは全く違う効果を生みます。緊密に 絡み合う弦楽パートを聞くのは、実に興味深い体験でした。

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