LDV132-3

70 ブラームス | ピアノ三重奏曲(全曲) 第1・2楽章とコントラストを成す第3楽章〈アンダンテ・グラツィオーソ〉の特色は何でしょ うか? ファニー:〈アンダンテ〉では、第1番と同様、ヴァイオリンとチェロが共にフレーズを紡ぎ、そ れをピアノが受け継ぎます。このやりとりは幾度か繰り返されますが、弦楽器奏者にとっては 至難です!——ヴァイオリンとチェロは、ピアノにならって正確な音程で歌うべきなのでしょ うか? はたまた、弦楽四重奏における音程の取り方を追求すべきなのでしょうか? ポリーヌ:ピアニストにも同様の問題が突きつけられます——弦楽器のフレージングを忠 実に模倣すべきなのか、それともルバートを用いて、弦楽器とは異なるフレージングを追 求すべきなのか……。最終的に私たちは、譜面上の演奏指示に導かれ、答えを見出しまし た。ピアノが弦楽器の旋律を受け継ぐたびに、ブラームスは「dolce(柔和に)」と指示して いるからです。ルバートを用いること、フレーズをゆるめること、フレーズを自分のものとする こと……それらはすべて、ピアニストである私に降りかかる誘惑です! ですから譜面上の 「dolce」は、私の解釈を後押ししてくれました。このニュアンスこそが、第3楽章に子守唄を 彷彿させるような優しさをもたらします。 アンジェル:ヴァイオリンとチェロが素朴に歌を紡いだ後、この歌は、ピアノに受け継がれ、自 由な表現形式による展開を求めます。そのときピアノは、いわば時間の主人になるのです。私 たちは長い時間をかけて話し合い、他のさまざまな解釈での演奏も試してみましたが、最終 的に全員がポリーヌの案に納得しました。

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