59 トリオ·ソーラ トリオ・ソーラは、毎日、毎週、可能なかぎり多くの時間を練習に費やした。ひとは、みずから のアイデンティティを確立したいとき、何事も中途半端にはしないのだ! 今日に至るまで に、3人はヨーロッパ各地をまわって数々のアカデミーやコンクールに参加し、わずか5年の 間に14の報賞を手にした。だがそれは、はじまりに過ぎなかった! 彼女たちの視野は、ま さに鳥のそれのように、より大きく・より遠くへ広がっていくことになる。 これまでのトリオ・ソーラの道中で決定的な出会いの一つとなったのは、グループのメンタ ーかつ保護者的存在となったマチュー・ヘルツォークとの出会いである。ヴィオラの名手で 指揮者でもあるヘルツォークは、大胆不敵で才能に溢れる3人の演奏家たちを気に入り、自 身の庇護の下に置いた。ヘルツォークは、トリオ・ソーラが山をも動かし、困難を物ともせず、 最後までやり遂げることができると知っていた……じっさい3人は、そうした! ヘルツォー クは、3人が新たな展望を切りひらきながら万事を突き詰めるよう背中を押し、3人を音楽 的にも人間的にも導き、3人がトリオとしてのアイデンティティを確立できるよう、労を惜しま ず手を差し伸べた。和声感と共通のサウンドの追求、そして——ヘルツォークがその必要性 を力説する——音色とアーティキュレーションの練磨はもとより、舞台上およびインターネ ット上でのトリオとしての“見せ方”に至るまで、ヘルツォークから得た指南は多岐にわたる。
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