53 セドリック・ペシャ フランス組曲の全6曲を番号順に録音しなかったのはなぜですか? 本盤の曲順の意図 についてもお聞かせください。 バッハは6曲を1720年代前半に作曲しましたが、どの順番で筆を進めたのかは定かではあ りません。彼が一気に続けて全曲を書いたのか否かさえ分かっていないのです。彼は、前半 の3曲(第1~3番)が短調、後半の3曲(第4~6番)が長調となるよう組曲を配置しました。 しかし彼は、フランス組曲が公の場で連作として演奏されることを意図していませんでした。 あくまで私の主観的な見解ですが、コンサートでは、短調と長調の組曲を交互に弾く方がは るかに効果的です。 バッハの音楽において、長旋法(長調)と短旋法(短調)は特別な意味をもつのでしょうか? バッハは、つねに長旋法の晴れやかな性格に重きを置くいっぽう、短旋法では、他のどんな 作曲家よりも悲劇的ないし劇的な深みに達しています。短調で書かれた彼の他の作品も、 強烈なメランコリーを醸しています。彼は、長旋法と短旋法を様々な手法で扱いましたが、そ れに加えて、各調性にも性格づけを施しています。バロック時代には、それぞれの調性が固 有な意味を授けられ、特定の感情を喚起していたからです。バッハはそれを完璧に理解し、 手中に収めていました。しかしながら等分平均律を用いると、各調性の性格が耳に伝わりに くくなります。そのようなわけで今回のレコーディングでは、ピアノの調律を、バッハの時代に 実践されていた不均等律に近づけてもらいました。
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