38 夜想曲 シマノフスキは、1925年に《アイタコ·エニアの子守歌》を作曲しました。このミステリアス な曲名は何を意味しているのですか? エヴァ·ザヴァロ:シマノフスキが同年に滞在した[フランス·バスク地方の]サン=ジャン=ド =リュズの館の名(バスク語)にちなんでいます。仕事に疲れ、社交生活にも忙殺された彼 は、息を吐(つ)こうと同地へ向かったのです。家主であったアメリカの慈善家ドロシー·ジョ ーダン·ロビンソンに謝意を表するため、シマノフスキは彼女に《子守歌》を献呈しました。私 はこの曲を通して、彼の書法の、より現代的で“耳ざわり”な一面を伝えたいと思いました。そ れは、愛らしさと優しさに溢れるフォーレの《子守歌》とは対照的です。 クレマン·ルフェーヴル:シマノフスキの《子守歌》は、不安げで、不穏で、悪夢にも似た光を放 っています。子どもの寝かしつけには、まるで不向きです! シマノフスキ自身は、この曲を「ど こまでも魅力的で素朴な、愛らしい曲」と紹介しましたが、この言葉とは裏腹に、全く心を和 ませない音楽です……。その書法は剥き出しで、簡素です。賛美歌のようなエンディングが、 初めて清澄な曲調をもたらします。
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