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37 エヴァ・ザヴァロ | クレマン・ルフェーヴル いっぽう、後半の〈タランテラ〉の舞台はイタリアのシチリア島ですね。シマノフスキは、ショ パンの《タランテラ》を意識していたのでしょうか? クレマン·ルフェーヴル:シマノフスキは、敬愛する同胞ショパンの《タランテラ》をもちろん知 っていましたが、自作のモデルにはしませんでした。ショパンの《タランテラ》にはシニカルな 面があります。死が笑みを湛えて踊り、のさばるのですから! シマノフスキの〈タランテラ〉 は、よりいっそう“甲高い”音楽です。ピアノ·パートは、明らかに管弦楽的な発想で書かれてい ます。そのため私は今回、ピアノの存在を忘れようと苦心しました。オーケストラを意識しな がら、種々の要素を、ピアノで演奏しうる極限の域で制御しようと試みたのです。じっさい、こ の曲は、シマノフスキの親友グジェゴシュ·フィテルベルク(1879-1953)によってオーケスト ラ用に編曲されています。〈タランテラ〉の鍵盤書法の熟達ぶりは明らかですが、ピアノは、よ り大きな編成へと至るためのステップであるような印象を与えます。 エヴァ·ザヴァロ:タランテラは、しばしば超絶技巧に富んだ楽曲の霊感の源となりました。 その好例が、ヘンリク·ヴィエニャフスキ(1853-1880)の《スケルツォ·タランテラ》と、パブロ· デ·サラサーテ(1844-1908)の《序奏とタランテラ》でしょう。シマノフスキの〈タランテラ〉 は、目もくらむばかりの極端に速い動きで陶酔をもたらす、悪魔的な舞曲です。

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