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33 エヴァ・ザヴァロ | クレマン・ルフェーヴル 今回、フォーレのソナタ第1番を選曲して2人の初期の大作を組み合わせることもできた はずです。なぜそうしなかったのですか? エヴァ·ザヴァロ:2人の作曲家が、時とともにどのような様式的変遷を遂げたのかを明らか にしたかったからです。そのためには、ふだん滅多に演奏されない最初期と円熟期の作品を 取り上げる必要がありました。それらの作品を通して、彼らの様式の知られざる側面を紹介 することができます。 本盤に収められたソナタ2作の時間の開きは、シマノフスキの最初期の様式とフォーレの 晩年の様式の隔たりをいっそう際立たせます。これに関して、どのようなアプローチを試み たのでしょうか? クレマン·ルフェーヴル:ピアニストとしては、幾つかの特殊な点を考慮する必要があります。 シマノフスキのソナタには、ある種の勢いや煌(きら)めく即時性があるため、奏者は、作品に 直感的かつ自発的にアプローチすることができます。フレーズの構造は明快で、ヴァイオリン 書法は輝かしく、ピアノ·パートは密度が高い上に管弦楽的です。そこには、ブラームスやリヒ ャルト·シュトラウスら、ドイツの作曲家たちからの影響がうかがえます。フォーレのソナタ第 2番へのアプローチは対極をなしています。それは、いわば“抗う”音楽であり、奏者にも、聞 き手にさえも、愛想や快適さを一切ふり撒きません。フォーレの音楽は、あまりに安易に社 交界やサロンのイメージを押し付けられていますが、ソナタ第2番は、そのような“生あたたか さ”から程遠い作品です。

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