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54 永遠の四季 グリーグやチャイコフスキーとは異なり、シベリウスが残したピアノ曲は僅かです。今回、 滅多に演奏されない《6つの即興曲》を選曲した理由をお聞かせください。 私は、シベリウスが管弦楽のために書いた傑作の数々をこよなく愛しています。おそらく彼の 《ヴァイオリン協奏曲》は、私が人生で最も頻繁に聞いてきた作品の一つです。彼の音楽に は途轍もない力強さがあり、非常に暗い面もあります。その幾分か病的な優しさは心を揺さ ぶりますし、チャイコフスキーやグリーグの音楽の類似の傾向と共鳴し合います。私自身、あ まり知られていないレパートリーへの好奇心が強いので、今回、幾つか珍しい曲にスポット ライトを向けたいと考えました。シベリウスのピアノ書法は、時にぎこちなく感じられることも ありますが、《6つの即興曲》の数曲——とりわけ第5曲——は紛れもなく名曲であり、私が 今回の“物語”の終盤に与えたいと望んだやや不気味な色合いを見事に帯びています。

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