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59 テオ・フシュヌレ 変ニ長調は、フォーレの夜想曲を象徴する調性ですね! 第6番と第8番の主調でもあります! もともと『8つの小品 作品84』の一部だった第8番 は、この調的な一貫性の中にぴったりと収まっています。第8番の流動性、簡明さ、舟歌風の リズムの揺れは、第7番の後に休息と有益な“息継ぎ”をもたらすとともに、第9番の関係調 に見事に連なってもいます。フォーレは変ニ長調によって“薄明かり”を生み出します。初期の ほぼ全ての夜想曲を特徴づける、この特異な“薄明かり”には、フラット系の調が用いられて います。ただし、ロ長調の第2番は例外です:トッカータ様式のドライな中間部は、輝かしい 光を放つ冒頭および終盤とは対照的です。この構成は、のちの長大な夜想曲のそれを予示 しています。いっぽう、第9番以降では、曲調が突如暗くなる際に、短調・シャープ系の調へと 移行します。

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