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48 ショーソン / ラヴェル | ピアノ三重奏曲 ショーソンが三重奏曲を手がけてから33年後の1914年に、ラヴェルは自身唯一のピア ノ三重奏曲を完成させています。この間、何がフランス音楽の美学に変化をもたらしたの でしょうか? ナタン·ミエルドル: フォーレの存在です! 私が思うに、彼は約40年をかけてフランス音 楽の変容を促しました。彼の和声が、よりシンプルであったわけではありませんが——むし ろ晩年の室内楽曲の和声は複雑です——、彼は音楽のテクスチュアに、ある種の流動性を 授けました。そこに彼がもたらした新たな光は、絶対王政全盛期の古き表現形式の追憶を 呼び覚ます対位法を照らしています。サン=サーンスとドビュッシーおよびラヴェルのあいだ で、フォーレは、ドイツ語圏の音楽的思想に代わる、この大変動を引き起こしたのです。 ロール=エレーヌ·ミシェル: それは、1870年にフランス軍がセダンの戦いで敗北した直後 に設立された国民音楽協会のねらいと重なります。彼らは、ロマン主義的な交響曲から抜 け出すべく、別の道を思い描いたのです。 ヴィクトル·メトラル: さらに言えるのは、古い書法への“逆戻り”は、どの時代にも見出される 事象でありパラドックスであったということです。たとえばベートーヴェンとブラームスは、古 風なフーガ的書法によって、自身の新たな創造的衝動を刺激しました。
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