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47 トリオ・メトラル 先ほど、ショーソンの三重奏曲のロマン主義的な性格について言及なさいましたが、刻々 と変化する曲調をどのように整理し、どのように曲全体のまとまりを維持しているのでしょ ぅか? ロール=エレーヌ·ミシェル: 主題の循環的な性格が一つの鍵であり、そこにはショーソンの 師セザール·フランクからの影響が見てとれます。私たちは、曲全体のまとまりを保持しなが ら、楽想の多彩さ、強弱のコントラスト、諸テンポの活気を表現しようと努めています。 ヴィクトル·メトラル: 曲調は、都度がらりと変化します。その好例が、第1楽章と第2楽章の コントラストです。これらの強烈な変化は、私たちにリスクを冒すよう求めています。じっさい、 この三重奏曲は議論を巻き起こしますし、奏者側に明確な選択を強います。たとえばショー ソンは、まず、あるテンポを設定し、その後に“少し遅めに”·“少し速めに”という微妙なニュア ンスを添えています。ラヴェルとは大違いです! ラヴェルは全てにおいて、時計職人さなが らに、微に入り細を穿(うが)つ厳密な指示を出しています。 ロール=エレーヌ·ミシェル: 私たちは、いつも同じ結論に立ち返ります——ショーソンの三 重奏曲のような楽曲を奏でるには、直感が不可欠なのだと。 ショーソンの三重奏曲から、どのような物語を読み取っていますか? ロール=エレーヌ·ミシェル: おぼろげな希望の光があり…しかし結局のところ、この曲で展 開される全てのエネルギーは、悲劇の感覚に行き着きます。

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