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46 ショーソン / ラヴェル | ピアノ三重奏曲 ヴィクトル·メトラル: いまロール=エレーヌが述べた光の概念について、少し補足しておき ます。ショーソンの三重奏曲において、光は明らかにくすんでいます。この光に宿る感情は、 終焉を迎えつつあったロマン主義の陰影を帯びています。いっぽうラヴェルの三重奏曲の場 合、しなやかで、刺激的で、ほぼ超越的な躍動によって、光がもたらされています。それはラヴ ェルに特有な世界であり、たとえばドビュッシーの世界とは似て非なるものです。 現代の演奏家たちは、過去の偉大な演奏録音を無視することはできません。とはいえ私た ちは、往年の名演をそのまま再現するわけにはいきません。 今日、演奏ひいては録音において演奏家に求められているものは、半世紀前と は違います。したがって私たちは、自分たちらしさを追求しながら、伝統に加わ ろうと試みています。
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