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45 トリオ・メトラル 本盤が物語っているとおり、1870年の普仏戦争後から20世紀半ばまでのフランス音楽 の美学的傾向は、多岐にわたっています。この時期の“フランス的な書法”を特徴づけてい るのは、どのような要素であると思われますか? ロール=エレーヌ·ミシェル: 文学であれ音楽であれ、ドイツ的なものとフランス的なものの 相違は、フレーズの構築の仕方にすでに表れています。アクセント(強勢)が置かれる場所 や、“動詞”の位置など…。ハーゲン弦楽四重奏団のクレメンス·ハーゲン氏はザルツブルク で、言語と音楽の照応がいかに重要であるか、私に説明してくれました。言葉も音符も、その 文化の思想体系と密に繋がっているというわけです。 その場合、トリオ·メトラルのサウンドの特性を、どのように定義なさいますか? ナタン·ミエルドル: 私たちのアプローチは、何よりも自然発生的です。サウンドの追求は、私 たちが生み出すものに結果として付随する行為でしかありません。私たちの第一の目的は、 作曲家の作品に仕えることであり、トリオの響きのアイデンティティは、時とともに絶えず再 定義されていきます。 ロール=エレーヌ·ミシェル: 私たちは、ある種の明瞭さを求め、音色を徹底して追求してい ます。そのために掘り下げているのが、ビブラートとイントネーション(音程)です。“明瞭さ” と“光”は、フランス音楽の世界を定義するにふさわしい概念であると思います。

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