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44 ショーソン / ラヴェル | ピアノ三重奏曲 本盤の冒頭を飾るのは、1881年の夏にショーソンが書いた、無比の力強さにみなぎる三 重奏曲です。当時26歳だった彼は、ちょうどローマ大賞で落選したばかりでした。世に認 められるための最も有効な手段であったオペラの作曲に再び取り組む代わりに、彼は、三 重奏曲に着手しました。虎視眈々たる若者が、目の前に突きつけられた挑戦に応じるかの ように… ナタン·ミエルドル: それゆえに私たちは、この交響楽的で濃密な三重奏曲を、“点描主義的 な”三重奏曲と組み合わせることが妥当だと考えたのです。2曲は、言わば平行線上にあり、 全くもって似ていません! ショーソンの三重奏曲は、明らかに“ゲルマン性”を滲ませるロマ ン主義的な筆致で書かれています。彼は数年後、この傾向から脱し、《ヴァイオリンと管弦楽 のための詩曲》(1896年完成)において、よりフランス的な音世界に回帰することになります。 ヴィクトル·メトラル: 確かにショーソンの書法は、叙情的な高揚を誘います。そして演奏者 は自己を“解き放す”よう背中を押されます——むろん、それがどの程度まで許されるのか、 明確な線引きを把握する必要はあります。それはラヴェルの書法とは異なります。彼の場 合、細密画を描くような技法を見事に駆使し、これ以上なく厳密な枠組を差し出しているた め、演奏者は書かれている音符だけをなぞれば、ほぼ事足ります…

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