LDV119

《野生の詩》の書法は、複雑でオーケストラ的である(じっ さい、3段ないし4段譜表が散見する。)その移ろいゆく和声 は、奇抜だが巧みに制御された複調性へと向かう。これらの 特徴に、ときに演奏家や聴衆は抵抗を感じるのだろう。壮大 な“自然賛歌”の中でヴィラ=ロボスが放つ原始的なパワー には、ストラヴィンスキーの影響もみとめられる。ウィレム・ラ チュウミアは、この傑作に凄まじい熱意を注ぎ、人間の本源 に深く根を下ろした野生的な大曲の真価に迫っている。ここ で私たちは、同時期にエドガー・ヴァレーズが手がけた《アメ リカ》[1926年初演]から、そう遠くないところにいる。

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