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ヴィラ=ロボスの友人で、彼の伝記も著したマルセル・ボーフ ィスは、ヴィラ=ロボスを「ブラジルが生んだ音楽家にして詩 人」と呼び、1963年には、彼が「子ども以上に童心にあふれ ていた」と書いている。ヴィラ=ロボスとルービンシュタイン の出会いは、早くも1918年に《赤ちゃんの家族》を生むこと になった。これは子どもの世界を彷彿させる詩的な組曲であ り、無数の趣のあるディティールが、独創的でヴィルトゥオジ ックなピアノ書法を形づくっている。1926年の《シランダス》 は、言わば音による一連の絵画的描写であり、各曲の中で、 ブラジルの児童が学校で習う童謡が引用されている(これ らの童謡は今もなお、さまざまに現代風にアレンジされ、ブ ラジルの教育現場で用いられている。)ヴィラ=ロボスが無 尽蔵に生み出す多様なリズムと、優れた直感が光るピアノ書 法、そして彼の遊び心が、無邪気な童謡から真正で豊かな感 情を引き出している。
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