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48 ヴィラ=ロボス | ド·ブラジル それとは対照的に、メンデルスゾーンを彷彿させる練習曲《波のように》は、ヴィラ=ロボス の現代主義的な志向から、かけ離れているように思えます。 そうかもしれません。とはいえ、この曲が放つ独特な魅力は、作曲家ヴィラ=ロボスが見せ る別の顔です。《トリストローザ》や《苦悩のワルツ》や初期のショーロスと同様に、《波のよう に》も、彼のセンチメンタルな作品群に属しています。 組曲《シランダス》は、独創的な形式とピアノ書法、そして童謡に由来する旋律によって、全 く新しい響きの世界に私たちをいざないます。今回、全曲を録音しなかった理由と、組曲 の曲順とは異なる並びでアルバムに収めた理由をお聞かせください。 いずれも珠玉の小品で、さながら即興音楽のようです。その多様な曲想と色彩が、私たちの 心をとらえます。今回は、私が特に気に入っており、組曲をもっとも体現していると思える数 曲を選び、それらの調性と様式の親近性を意識して並べました。

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