LDV119
20世紀ブラジル音楽界の重鎮エイトル・ヴィラ=ロボ スは、豊かな想像力と直感に恵まれた創作者として、と きに受け手を挑発し、ときに伝統に追従した。彼は、み ずからの音楽言語を母国の伝統的な旋律・リズムと繋 ぎ合わせ、同時代の作曲家たちが打ち出したあらゆる 新機軸を取り入れることによって、独創的な様式を作り 上げるにいたった。ヴィラ=ロボスの変幻自在な作風を 支えた多彩な美的方針は、彼の熱烈な愛国心をかき立 てながら、あるときは壮大なフレスコ画のごとき楽曲を 生み、あるときは味わい深く棘(とげ)のある細密画とな って響いた。
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