LDV115-6

46 バッハ | 無伴奏チェロ組曲(全曲) 音楽史上の金字塔の一つである《無伴奏チェロ組曲》は、この楽 器の技術的な原則を超越している。各組曲は前奏曲(プレリュー ド)で始まり、一貫してジーグで終わる。前奏曲を例外として、い ずれの楽章においても、舞曲の極めて多様なリズムがポリフォニ ーの構築に寄与している。これらの舞曲はドイツ、フランス、イギリ ス、そしてイタリアの様式を示唆し、その楽章構成はテンポの交替 (緩急緩急)を生み出している。概括するなら、各組曲は堅固で 多声的な骨組みをもとに築き上げられている――この骨組みは 本来ドイツ的であるが、一連の陽気なイタリア様式の舞曲によっ て充実が図(はか)られており、それら全てに、フランス的な洗練を 湛える装飾が施されている。これ以上に“ヨーロッパ的”な精神を もつ作品が、果たして他にあるだろうか?

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