LDV111-2

長いあいだデュオとしてチェロ・ソナタに取り組んできた今、お二人の 演奏の変遷を、どのように定義なさいますか? ゲイリー・ホフマン : 変遷を言葉で言い表すことはできませんが、それは 確かに存在します。私たちはリハーサル中、さほど多くの言葉を交わしま せん。合意は練習を通じて得るものではなく、人生の一部です。リハーサ ルの本質は、人生が表現するあらゆるものを結びつけ、音楽の中で具現 されている全てのものを結びつけることにあります。 ダヴィッド・セリグ : 一つのヴィジョンを共同で生み出す行為は、共演相 手を身体的に意識している状態、相手に対して完全に開かれている状態 を意味します。演奏が熟してくると、解釈の更なる深化やテンポをめぐる 問題が、おのずと生じます。じっさい今日の私たちは、二人の演奏の幾つ かの側面が変化していくさまを、より自由な心持ちで受け入れています。 ただし、そのような“自由”を有することで、厳密さが減ずるわけでは全く ありません。このことにかんして、私たちは何の理論も見解も有していま せん。決着をつけてくれるのは時間だけだからです。

RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx