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44 ラヴェル / ピアノ独奏曲集 ラヴェルは、その創作人生の始めから終わりまで歌曲を書きつづけました。声楽は、ある 程度まで彼のピアノ音楽に影響を与えていると思われますか? ラヴェルのピアノ曲と管弦楽曲は目立つ存在であり、しばしば、彼が生涯にわたって手がけ た多数の歌曲を覆い隠しています。ちなみに、最後の歌曲《ドゥルシネア姫に心を寄せるド ン・キホーテ》(全3曲)は、ラヴェルの最後の作品でもあります。私自身は声楽をこよなく愛し ています。 じっさい、かなり若い頃から、私のピアノへのアプローチは和声的な領域を 越えていました。私には、ピアノ書法の声楽的な側面を考慮しつつ、つねに“ 歌”を理想とする傾向があります。声楽的な側面は、さまざまな度合いでラヴ ェルのピアノ音楽の中に確(しか)と存在しています。彼は非常にリリカルな 作曲家だと言えるでしょう。

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