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50 リスト / ワンス·アポン·ア·タイム 愛の情熱は、リストにとって宗教的な憧憬と同等に重要であったと思われますか？　それ が彼をジレンマに直面させたのでしょうか？ それは、自身の生来の二重性を意識した青年期から、彼が生涯抱えていた問題です。循環 形式による《ロ短調ソナタ》は、神への憧れと悪魔的な緊迫のあいだを揺れ動きます！　そ してアルフレッド·コルトーの言葉を借りるなら、このソナタは［“ プロテウスのように］変幻自 在な作品”です。これはベートーヴェンやシューベルトの最晩年のソナタにも言えることで すが…… 私が思うに、どんなピアニストであっても、この種の音楽世界が擁するすべて のパラメーターを、一回の演奏で網羅しまとめ上げることなどできません。 不完全であることは、あらゆる創造行為と不可分なのではないでしょうか？