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48 リスト / ワンス·アポン·ア·タイム リストが後の世代の音楽家たちに与えた影響については、どのようにお考えですか? リストの作品は、音楽史上できわめて重要な地位を占めています。何より彼は、ワーグナー の音楽語法の発展に寄与しました(リストの半音階主義がなければ、《トリスタンとイゾル デ》はまったく異なる響きをまとっていたに違いありません。)リストが新ウィーン楽派に与 えた影響は明らかですし――とりわけ、ベルクが同じくロ短調で書いた《ソナタ 作品1》や、 リストの晩年の作品からじかに着想を得たウェーベルンのアフォリズム的作品――、フラ ンスの作曲家たちや、バルトークら中欧の作曲家たちへの影響も見落とせません。ある側 面において確かな繋がりがみとめられる作曲家としては、フランク(半音階書法とオルガン 的な音響効果)、ドビュッシー(リストの《孤独の中の神の祝福》や《婚礼》は、ドビュッシー の書法を色濃く先取りしています)が挙げられますし、フォーレの場合も、少なくとも最晩 年の作品群はリストを想起させます。しかもフォーレは、1882年にリストを訪ね、彼の前で 自作の《バラード 作品19》を演奏しており、おそらくリストの助言にしたがって、この曲を管 弦楽用に編曲しました。

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