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47 ミシェル・ダルベルト では、いつリストの音楽から“衝撃”を受けたのですか? シャンゼリゼ劇場でクラウディオ·アラウのリサイタルを聞いたときです。《ロ短調ソナタ》を 主軸としたプログラムでした。このソナタの内部構造が彼の演奏によって明らかになり、奇 跡のようなサウンドが彼のピアノから生み出されました。私自身は、アラウが1976年にフィ リップス·レコードから出した録音を入手したことをきっかけに、1983年に《超絶技巧練習 曲集》に興味を抱きはじめました。 私をリストへと向かわせた、より直接的なきっかけについてもお話ししておきましょう。私は パリ国立音楽院での学生時代に、モーツァルトとシューベルトの多くの作品を弾いていま した。70年代には、さほど重んじられていなかったレパートリーです。当時、私が自分の好き な作品について語るたびに、周囲の学生や教授たちは――少なくとも――驚いていたよう に思います。なかには、私の演奏技術が不十分であるがゆえに、高度な超絶技巧に富んだ 曲を避けているのだろうと考えた人たちもいました……。しかしその後、ルネ·ケランからラ ジオ·フランス·オクシタニー·モンペリエ音楽祭に招かれた私は、1986年7月30日、リストの 没後100年を記念して《超絶技巧練習曲集》の全曲演奏をおこなうことになりました。この コンサートはクラシック·ラジオ局“フランス·ミュジーク”で生中継されました。こうして私は、 技術的な理由でリストを避けているとの誤解を幾らか解くことができたのです……
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