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48 バレエ ジャン=バティスト·フォンリュプト ジャン=バティスト·フォンリュプトは、自身の詩的な想像力が羽を伸ばす広大な庭に聴き 手を招き入れながら、秘する芸術に専心する演奏家たちの一人である。その慎み深い霊 感は、彼の指に触れる一つ一つの楽曲に気品を与えていく。彼の慎み深さは、自由と隣り 合わせにある。この二つの美点を生み出したのは、彼の音楽への献身と、彼がグルノーブ ルでの幼少期から日々あたためてきた音楽との親密な関係である。しかし、山を散策する ことで己と向き合い、世界との関係を築いてきた彼は、散策のさいに抱く夢想の数々をも 通して、音楽に対峙するための慎み深さと自由を育んできた。 壮麗な山々の景色から、少年時代のフォンリュプトを魅了して“ここではないどこか”へと彼 をいざなった“宝探しの地図”まで、さまざまなものが彼の遠方への希求を募らせ、彼にパ リ、さらにはヨーロッパへと足を運ばせた。ロンドン、ベルリン、モスクワ……。彼は、自身の 芸術の生きた源泉を求めに行く必要があった。そうして彼は、初期の師たちによって導かれ た美と善意の学びの道をさらに進み、最良の教えを受けることになる。ブルーノ·リグットの もとでは時間が経つのを忘れて勤勉に学び、自発性、細やかな感情表現、音楽を前にした 自我の放棄、そしてまた音楽表現に多くの趣を添える少々の狂気を体得した。

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