LDV104
ラヴェルは、ロシアの作曲家たち――ストラヴィンスキーとプロ コフィエフ――とは別種のアプローチをとり、別種の創造的意図 を追求したように思えます…… ストラヴィンスキーとプロコフィエフの2作は、コンサート用の版 で演奏される頻度は高いものの、れっきとしたバレエ音楽であり 続けています。それらは、ロシアの新古典主義的バレエの偉大な る伝統を汲んでおり、今日もなおバレエとして上演され続けてい ます。いっぽう、ラヴェルの《アデライード、または花言葉》は、結 局2度しか上演されませんでしたし、ディアギレフはバレエ《ラ・ヴ ァルス》を初演することを最終的に断念しました。彼は何が気に 入らなかったのでしょうか? 《ラ・ヴァルス》は、ディアギレフから の依頼、そして台本を、超越しています。ラヴェルの想像力は、ディ アギレフの構想をはるかに超えました。その時バレエはラヴェル を介して、一つの想念に――鏡に映る一連のイメージに――変 わったのです。
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