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37 ジャン=バティスト·フォンリュプト いずれの物語にも、非現実的な側面がありますね…… どの音楽も、筋書きと結びついた強烈な感情を呼び起こします。《ペトルーシュカ》では、木 製のマリオネットが命を与えられ、愛の物語を展開します。“幻想的かつ宿命的な旋回”が 繰り広げられる《ラ・ヴァルス》と、《高雅で感傷的なワルツ》は、夢想と空想の世界に彩られ ています。今回4曲を抜粋した《「ロメオとジュリエット」からの10の小品》は、プロコフィエ フ自身の手になるピアノ独奏版です。ここでもまた、この世のものならぬ恋愛物語が、極端 な登場人物たちを描き出します。有名な〈騎士たちの踊り(モンタギュー家とキャピュレッ ト家)〉は、鋭利なリズムとハーモニーによって、奇妙で恐ろしい音楽に仕上げられています。 いずれも、過ぎ去った時代の物語を題材としています。ラヴェルの場合はロ マン派の時代、ストラヴィンスキーの場合は往年のロシア、プロコフィエフの 場合は14世紀のイタリアが舞台です。しかしながら、近代的な様式の音楽 が、それぞれを夢幻的な物語に変貌させています。
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