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34 バレエ その中心は、セルゲイ・ディアギレフのバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)と関連のある音 楽ですね…… 今回のプログラミングの軸は、1910年から1920年にかけてディアギレフがフランスで試 みた、ストラヴィンスキーおよびラヴェルとのコラボレーションです。後の1930年代に、ロ シアのバレエ音楽はソ連で引き続き発展していきました。その傑出した担い手がプロコフ ィエフです。19世紀以来、フランスとロシアの舞踊史は美しく絡み合ってきました。本盤で は、音楽作品を通して、その実例の幾つかを挙げています。 演奏会用に生まれ変わった作品は、それでもなお“バレエ音楽”なのでしょうか? 確かにそれらは、振付や視覚芸術としての要素から切り離され、踊り手たちと袂を分か ち、“独自の人生”を歩んでいます。とはいえ、それらはバレエ音楽であり続けていますし、も とのオーケストラ音楽と緊密な関係にあります。当初そのように構想された音楽ですから、 当然と言えば当然です。今回、ピアノ版を弾いているとき、バレエの要素を脇に置いておこ うなどという考えは一瞬たりとも浮かびませんでした。むしろ私は、それらがバレエ音楽で あることを、つねに念頭に置きました。この種の作品は、奏者の想像力に訴えます。そこに は視覚的な次元があり、アクションや物語があり、奏者は多くの“登場人物”と出くわすので す! いっぽうで本盤に収めた楽曲は、言わば“自己完結”してもいます。それが19世紀の バレエ音楽との大きな違いです。たとえばチャイコフスキーのバレエ音楽を聞いていると、 どうしても踊り手の姿を見たくなります……。他方、ラヴェルやストラヴィンスキーやプロコ フィエフのバレエ作品は、舞踊をともなわない純粋な音楽として鑑賞することもできます。
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