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59 グザヴィエ・フィリップス | セドリック・ティベルギアン 《ソナタ第2番》は、まるで翼が生えているかのようです——決して衰えぬ勢いとともに前 進していきます。 セドリック・ティベルギアン : 第1楽章は、果てしなく延伸しているような印象を与えます。 旋律に終わりがないのです。これとは対照的に、終楽章〈アレグロ・ヴィーヴォ〉では全てが 収縮し、凝縮されています。この終楽章は移り気です。そこには並々ならぬ切迫感と、私たち を旋風のように運び去る抗しがたい熱狂があります。この音楽の有様を的確に形容する“白 熱”という言葉が私の頭に浮かんだのも、まさにこの楽章においてです。火がついた途端に燃 え上がるガスのような音楽であり、火花のように感情をかき立てる音楽です……。それは演 奏者を圧倒し、抑えがたいエネルギーへと不意に駆り立てます。これは、おそらくシューマン の一部の作品を例外とすれば、他では滅多に得られない体験です。

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