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58 フォーレ | チェロとピアノのための作品(全曲) チェロ・ソナタに話題を戻しましょう。2作はいずれも、緩徐楽章を中心に構築されている ような印象を与えます。第1番の緩徐楽章は《エレジー》の追憶であり(もともと《エレジ ー》自体が、あるソナタの楽章として構想されていました)、第2番の緩徐楽章は、ナポレオ ン1世の没後100年記念式典のためにフォーレが書いた《葬送歌》に基づいています。 セドリック・ティベルギアン : おっしゃる通り、2作の3楽章構成は非常にシンメトリックで す。冒頭楽章は、中央に置かれた緩徐楽章のために道を準備しているように思えますし、終 楽章は、ある種の解放の音楽です。第1番の終曲〈アレグロ・コモド〉は安らかに始まります が、第2番の終曲〈アレグロ・ヴィーヴォ〉は、出だしの和音から勢いを爆発させます。 第1番の〈アレグロ・コモド〉では、躍動感と愁いが同居していますね。 セドリック・ティベルギアン : この楽章は、安らかな幸福感を放ちます。私の幼少期に、両親 がステレオでフォーレの室内楽曲をよく聞いていました。第1番の終曲は、春の屈託のない 日曜を私に連想させます。奏者は、この音楽が思いのままに進んでいけるよう、背中を押して やらなければなりません。出だしでは時が刻々と過ぎていきます。ここで私たちは意識的に、 流れるような演奏スタイルと控えめなペダルの使用を心がけ、16分音符が明快かつ明瞭に 響くよう努めました。この楽章全体の活気は、16分音符にかかっています。幸福感にあふれ る雰囲気は、躍動的な旋律のみならず、ピアノ伴奏からも生まれ出ています。じっさいピアノ・ パートは、終楽章の冒頭から、喜びに満ちた結末に至るまで、絶えず動きまわっています。

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