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56 フォーレ | チェロとピアノのための作品(全曲) フォーレは二つのチェロ・ソナタにおいて、古典派の様式に回帰したと思われますか? グザヴィエ・フィリップス : 彼の初期作品のロマン主義的な作風をかんがみれば、そう言え ると思います。二つのチェロ・ソナタの古典派的な様式は、無味乾燥さの瀬戸際で、著しい 簡明さを聞かせます。言わば、純化された様式です。そこには詳説しようとする傾向が依然と してみられるものの、全てがこの上なく明瞭であるため、矛盾しているように思えるかもしれ ません。 フォーレは、《チェロ・ソナタ第2番》に着手する直前に綴った手紙の中で、こう述べていま す。「老いは忌まわしい! だが作曲を再開すると、老いていることをたちまちに忘れてい く」——彼の晩年に続けざまに生まれた作品は、驚くほど若々しく溌剌とした、最期の花束 にたとえられます。 セドリック・ティベルギアン : 晩年の作品は、年齢を重ねても変わることのないエネルギー を宿しています。その筆致は力強く、旋律は信じられないほど頑強です。そして全てが、極め て濃密に凝縮されています。フォーレは自身の様式から無駄を削ぎ落とし、その真髄を差し 出しています。とはいえ彼は、若き日に戻りたがっていたわけではなく、郷愁を抱えて感傷的 に若さに執着していたわけでもないと思います。この晩年の時期は、過去の全てを花ひらか せ、彼の作曲家人生を輝かしく終焉させています。彼は、75歳までパリ国立音楽院の院長 を務めました。気の抜けない責務から解放されるやいなや、彼は——難聴に悩まされながら も——自身の創作活動に新たな発展をもたらしました。
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