LDV102

52 フォーレ | チェロとピアノのための作品(全曲) 二つのチェロ・ソナタの緻密な対位法書法は、とりわけ奏者に困難を突きつけるのでしょ うか? セドリック・ティベルギアン : フォーレの対位法は極めて複雑で独特であり、私たち二人も、 しばしばそれについて話し合いました。バッハの作品を通じて慣れ親しまれている伝統的な 対位法とは、かなり異なります。 グザヴィエ・フィリップス : 確かに、フォーレの対位法は意表を突くもので、言わば色彩を伴 っています。ある瞬間、よく分からない所からやって来て加わった一音が、色彩をもたらすの です。それは耳を楽しませてくれます。そのような対位法を、私はつねに自然に受けとめてき ましたし、一度も変だと思ったことはありません。幼い頃からずっと、フォーレの音楽に囲ま れてきたからでしょう。むしろ、そこには不思議な美しさがあると思います。まさにこの不思議 さが、フォーレの音楽の中でしか出会えない特異な感情を生み出しています。

RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx