LDV101
44 ドヴォルザーク スケルツォとして書かれた第3楽章〈モルト・ヴィヴァーチェ〉(ヘ長調)は、躍動的で力強い リズムが持ち味で、たいていの場合、極めて意外な箇所――小節の第2・第3拍目――にア クセントが置かれている。楽章全体が、唐突なリズムと大胆な音の組み合わせによってエキ ゾチックな香りを強く放っている。第1ヴァイオリンが主導するこの楽章は、単一主題に基 づいており、中間部ではアメリカ現地の鳥アカフウキンチョウのさえずりを模倣する。ヘ短 調への回帰が中間部の始まりを告げ、その後に冒頭の祝祭的な雰囲気が戻って来る。終楽 章〈ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ〉(ヘ長調)はエネルギッシュで陽気なロンドで、その 主題は極めて快活である。第1ヴァイオリンが舞曲を奏でるなか、リズミカルな伴奏部がイ ンディアンの太鼓の打音を連想させる。高揚感に富んだ楽章であるが、より厳かで宗教的 なコラール風の中間部(メノ・モッソ)では、チェロが一瞬、バリトンの声を聞かせる。この中 間部はおそらく、ドヴォルザークがオルガンを弾いたスピルヴィルの教会と結びついている。 すぐに快活な雰囲気が戻って来ると、第1ヴァイオリンが黒人ソプラノ歌手を模してG線上 で歌を響かせ、やがて曲は、光と熱気と楽観性に満ちたコーダとともに熱狂的な絶頂を迎 える。
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