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43 ターリヒ四重奏団 感動的な第2楽章〈レント〉(ニ短調)では、シンコペーションの伴奏の上で、ヴァイオリンが 長大な歌を切々とうたう。この珠玉の楽章は、深い感情表現と清らかで魅力的な和声によ って私たちの心をとらえる。まるでドヴォルザークが、アメリカの静かな森の中で独り夢想 し、母国への郷愁にかられているかのようである。ここでもまた、チェロが高音域で“歌”を引 き継ぎ、展開部の後に、チェロが楽章を閉じる。全体的に深い憂愁に満ちた第1ヴァイオリ ンとチェロは“語り手”の役割を演じ、これに時おり第2ヴァイオリンが加わる。このどこま でも簡明な楽章によって、ドヴォルザークは自身のもっとも強烈で私的な表現に到達して いる。
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