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41 ターリヒ四重奏団 ドヴォルザークは、黒人たちの祈りの音楽や、彼らが祝宴や葬式でうたう歌に初めて接し た。ニューヨーク到着から数か月後、すでに彼は、これらの伝統音楽に関心を示さないアメ リカの音楽家たちを非難している。彼は1893年5月、ある記者に、ネグロ・スピリチュアル( 黒人霊歌)こそが「アメリカで発展しうる有力で独創的なあらゆる作曲の楽派の基礎となら なければならない。これらの多彩で美しい旋律は、大地の産物であり、アメリカ的である」と 述べている。ピエール=エミール・バルビエが説いた通り、「彼の音楽の“アメリカ的な”諸要 素は、短調での五音音階の使用、導音を半音下げる手法、付点あるいはシンコペーションの リズムの使用によって特徴づけられる。それによってチェコ音楽の伝統と黒人音楽の伝統が 通じ合うことになった」。ただしドヴォルザークは、インディアンや黒人の旋律をそのまま引用 することをつねに避けた。「私は単に、インディアンの音楽の種々の特性をそなえた旋律をみ ずから創出し、主題として用いた。そしてそれらの旋律を、あらゆる現代的なリズム、ハーモ ニー、対位法、管弦楽法の要素と組み合わせて発展させた」と、彼は述べている。
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