LDV201

30 バッハ_ トッカータとフーガ トッカータとフーガ ニ短調 BWV565 この名高い作品は、20代前半の若かりし頃のバッハによって作曲された。曲頭、 オルガンは猛烈な力で沈黙を貫く――しかし作品があまりに有名になってしまっ たがために、凡庸な演奏がはびこり、結果として「トッカータのぶしつけなまでの 唐突さや、この電撃的な導入部の荒々しさは、弱められてしまった。「フーガの主 題は、バッハが弦楽アンサンブルのために書いた自作から引用したものだ。今 日、このアンサンブル作品は、ヴァイオリン独奏曲を編曲したものと考えられてい る。フーガでは、ぶしつけな性格のトッカータとは対照的な、流麗なテーマが展 開される。曲はやがてラプソディー風の雰囲気に包まれてフーガをさえぎり、熱 烈で壮大な終結を勢いよくもたらす。 アリア ヘ長調 BWV587 徐々に発見されてきたバッハの知られざる作品の中には、明確な用途が不明な まま孤立しているものがある。このアリアを含む幾つかのトリオは、ソナタもしくは 協奏曲の緩徐楽章のために書かれた可能性が高い。このアリアはまた、バッハ が異国の作曲家たちに寄せていた尊敬の念をも物語っている。というのも、クー プランの《諸国の人々》第 3 組曲「神聖ローマ帝国人」の第 4 曲をほぼ完全に編曲 したものなのである。

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