LDV17
29 エルメス四重奏団 次に、作品 41 の 3 曲の類似性についてお話しいただけますか。たとえば調性に目を向ける と、イ調とヘ調という二つの柱の周囲で、ごく限られた調性の選択がなされています。イ 調とヘ調が形成する 3 度の音程は、全 12 楽章のあらゆる調性進行にかかわり、さらにはロ マン主義的な表現の典型であると指摘できます。 仰る通り、短期間に一気に作曲された点、非常にシンプルな調性の配置がなされている点 が、作品 41 全体に一貫性をもたらしています。そしてまた、全体を貫く英雄的な、それでい て穏やかで親しみやすい性格が、シューマンのロマン主義的ヴィジョンを様々に表現して います。さらに、シューマンの常套句でもあるスフォルツァンド――いくつかの和音に突然 に表情を与えるアクセント――が至る所で多用されており、数々の不協和音、実に美しい 衝突音が生じています!また作品 41 においては、一貫してヴィオラが重視されています。 抒情的で陰鬱で、人間の声に非常に近く、「岩のごとき堅固さ」とでも形容できるような性格 が、終始この楽器に与えられているのです。和声の面でも、ヴィオラには大きな役割が振ら れています。
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