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32 ショパン バラード 4 曲の他に前奏曲作品 45 、スケルツォ 4 番、舟歌を弾かれていますが、なぜこれら の曲を選ばれたのですか。 はじめてショパンの CD を録音するにあたって、私の音楽世界のなかで以前から大きな位置 を占めているバラードを入れるのは当然のことでした。他の人もやっているように、これにス ケルツォ 4 曲をカップリングすることもできましたが、少々体系的に過ぎるように思われ、完 全に乗り気にはなれませんでした。バラードに続けてさらに後期のスケルツォ 4 番と舟歌を もってくるほうがいいと思ったのです。前奏曲作品 45 は 2 番と 3 番のバラードの間に作曲さ れており、驚くべき現代性を備えています。ショパンは最晩年の数年間にその音楽語法を 見事に飛躍させ、和声はより自由になり、完全に未来を見つめた巧緻性を見せています。 この見方によると、バラード第 4 番は、スケルツォ 4 番や舟歌と同じような色彩がなくとも、すで に最後期の部類に属します。より暗くよりドラマ性があって、他のバラートに近いままですが。 ではプログラムをひとつひとつ見ていきましょう。まずバラード第1番ト短調 作品 23 で すが。 これは 4 曲の中で最も勇壮で正真正銘の叙事詩ですね。まだとてもポーランド的で、祖国 が味わったばかりの苦しみに心を痛めています。しかしまた、マリア・ヴォジンスカへの愛情 と結びつけることもできます。英雄譚、愛、情熱。この曲は突風のごとく、興奮にかられた作 曲家による作品です。この信じられないようなコーダも!書法的には、まだ、ショパンの若 い時代にみられる「伴奏付きメロディー」的な性格が強くなっています。
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