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フィリップ・ビアンコーニ 31 ショパンの音楽との出会いを教えて下さい フィリップ・ビアンコーニ:子供の頃にディヌ・リパッティのワルツ集の録音を聴いたのがショ パンとの最初の出会いです。ワルツの長所がどんなものであったとしても―これを高く評価 する人はたくさんいます―私は当時、ショパンの音楽についてちょっと狭い見方をしていま した。ニース音楽院では、私よりレベルの高い生徒がショパンの他の曲を演奏しているのを 聴きました。 10 歳か 11 歳の頃、バラードを聴いてショックを受けました。突然、勇壮で壮大な 息づかいのショパンがいることを知ったのです。バラードで表現されている情熱は、全く素 晴らしいものだと思いました。個人的には 4 番から始め、続いて、 1 番、 3 番、 2 番と勉強して いきました。同時にスケルツォや舟歌、幻想曲も勉強しました。 私のショパンのアプローチは、ニース音楽院で師事していたデルベール=フェヴリエ女史か ら多くを負っています。彼女は音色やフレージングの質に重要性を置き、様式的には地味 さを強調していました。が、彼女自身は同時にとても情熱的な人でした。見た目は控えめな 人でしたが、その音楽や授業には、情熱がほとばしっていました。それは、ショパンの音楽 に向き合うのによく見合ったやり方だったと思います。様式的には節度を保ち、あらゆるて らいを排し、激しい感情を表現するのですが、それはショパンの本当の性質にあっていたと 思います。ショパンのバラードはコンサート・ピアニストとして活動を始めた頃からずっと弾き 続けています。ひとつのコンサートで 4 曲全部を弾くのはまれで、ショパンの他の曲といっし ょに、 1 曲かまたは 2 曲セットで弾いてきました。

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