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42 今夜は映画館で 本盤の収録曲や、その構成についてもお聞かせください。全曲を結びつける共通の糸のよ うなものはありますか? “糸”はロータで始まり…ロータで終わります! もう少し真面目に語っておくと、前述の通 り、このアルバムは私の両親に捧げられています。とりわけ父は、私が彼のためにガーシュウ ィンの《ラプソディ・イン・ブルー》を弾いたら大いに喜んだはずです。しかしパリ音楽院では、 この種の音楽に取り組むことは論外でした。当時《ラプソディ》は——控えめに言っても—— 軽んじられていましたから……。とはいえ、1924年に初演された《ラプソディ》が、10年後に 書かれたラフマニノフの《パガニーニの主題による狂詩曲》に間違いなく影響を与えている ことは、無視できません。第18変奏には、ガーシュウィンの《ラプソディ》の中心的な主題と 似た素材が見出されます。《ラプソディ》を『マンハッタン』で用いたウディ・アレンは、魅力と 情熱にあふれる映画監督です。彼は、アメリカ文化、より具体的にはニューヨークの文化を 体現しており、同作ではスノビッシュなアメリカ人たちを愉快に揶揄しています(ダイアン・キ ートンがそれを大袈裟に表現しています!)生粋のアーティストであるアレンの映画は、私た ちの見識を広げてくれます。『マンハッタン』の音楽は、言うなれば、ノスタルジアの音楽であ り、切ない朝の音楽であり、『華麗なるギャツビー』(F・スコット・フィッツジェラルドの小説と ジャック・クレイトンの同名の映画)へ通ずる音楽と言えます。

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